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大言小語 ハッピーではない

 IT技術の発達で不動産投資の世界は様変わりした。プロから素人のサラリーマンまでプレーヤーの顔ぶれも多岐にわたっている。

 ▼不動産テック企業は不動産投資の定量的な評価を行っている。インターネット上に公開されている不動産の信用データを集めて駅ごとの賃料の上昇率や下落率を分析したりする。これにより、投資対象物件が将来的にどれだけ収益を生み出すかが説明できるようになった。背景にあるマクロデータは、人口統計をはじめ、税金、物件個別の管理会社の状況などを含めたデータである。

 ▼情報格差はオンライン社会で解決できるはず。だが、そうはなっていない。多くの不動産サイトは写真付きで物件の基本情報が載っていてあとは「仲介業者に問い合わせてください」となっている。よく引き合いに出される米国では情報が充実している。米国は一般的な人でも一生に何回も住み替えるとされ、実需での購入も次に売ることを考えて投資家目線で購入する。物件情報では周辺の学校の偏差値や前の取引額とリスティング価格、成約価格も推移が分かる。

 ▼日本でなぜそれができないのか。広告掲載料を払ってくれる不動産事業者の物件を掲載しているのでサイトを訪れる投資家ではなく、不動産会社に顔が向いている。「ある程度の情報は出せるが、それ以上は(不動産会社から待ったがかかり)難しい」。投資家にとってはハッピーではない。