東京都千代田区が分譲マンション販売で5年間の転売禁止特約を付与するよう業界団体に要望していたことについて、不動産協会(吉田淳一理事長=写真、三菱地所取締役会長)は9月19日、都内で開催した記者懇談会で「投機的短期転売問題」について改めて協会の考え方を示した。
マンション価格の高騰について千代田区では投機的な転売が影響し、千代田区に居住を希望する人の妨げになっているとの見方について、「投機的な取引が挙げられることが多いが、その影響はごく限定的と捉えている」として、あらためてマンション価格上昇の要因に当たらないとの見解を示した。価格高騰の要因として第一に挙げられるのが土地代や建築費など原価の値上がりによるものだとした。
現在、国土交通省で進めている短期転売の実態調査の結果を待って、それを確認して協会としての短期転売などの抑制策を発信していきたいとした。また、「国交省は登記簿を基に(マンション所有者の属性を)調べている」としたうえで、調査範囲が千代田区だけなのか、都心部や東京圏を含めているのかなどは分からないが、全国ベースではないとみている。
転売禁止特約に対する見解としては、これまでを踏襲し、「引き渡し後に所有権が移れば、事業者側にできることには限界がある。契約義務違反を把握できても、『契約を解除して引き渡しをしない』」との履行を担保できる手段を持たない」とした。
もっとも、禁止特約を付けることには、「財産権の保障」で私有財産の処分に関する権利を制限することで慎重であるべきだとも繰り返した。