専門家から「今は百年に一度の変革期」なんて言われると、確かにそうかなと思う。だが〝今〟ではなく、10年後はどうなのだろうか。その頃になれば世の中少しは落ち着いてくるのだろうか。
▼どうもそんなふうには思えない。その頃は更に変革の度合いが増して今度は〝1000年に一度〟とか、〝人類史上最大の〟とか言いだしているのではないだろうか。なにしろ、45年頃には遂にAI(人工知能)があらゆる面で人間を超える技術的特異点〝シンギュラリティ〟がやってくると言われているのだ。
▼人間がコンピューターや機械に追いまくられる時代がこれから永遠に続くのではないかと思うと憂鬱になる。ここらで、そろそろ、未来や人間社会のありかたについてじっくり考え直す必要がありそうだ。便利になることだけが〝未来〟だとは思わない。人間には不便や不快もときには必要なのではないか。豊かな人間社会実現のためという「働き方改革」も、その主眼が結局は生産性向上にあることも気にかかる。経済成長至上主義からもそろそろ脱却すべきだと思うのだが。
▼成長主義の弊害か、人間が〝技術〟ばかりに目を向け、肝心の〝人〟に関心をもてなくなっていることもヘンだ。人間は何千年も昔から、人と人との狭間で生きている。何百年何千年経っても〝変えてはいけないこと〟のほうに興味がわいてきた。