Pick Up!
- 本紙家賃調査 都内単身向け物件の上昇が顕著
- SBIアルヒが業績回復、「フラット35」の注目度も上昇か
- 積水ハウスGの住宅技能工訓練校が採用強化を継続
1週間のランキング・トップ10から記者が気になる記事を3つピックアップしていきます。
まずは、4位となった「本紙・25年春の家賃調査 東京圏 単身向け物件が急伸 賃料負担能力アップ 家族向けに分譲待機組が流入(2025/5/13号)」です。本紙恒例、独自家賃調査記事が今回もランクイン。特に今年は、急激なインフレ傾向が続く中で迎えた春の繁忙期ということもあり、例年以上に家賃動向への関心が高まっているタイミングだったのかもしれません。実際に、特に東京圏では、家賃にも値上げが波及している様子が明確に見られる結果となりました。特に、単身者向け物件で家賃が大幅に上昇しており、コロナ下での需要減退から都心回帰への揺り戻しもうかがえました。また背景の一つには、分譲マンション価格の高騰を背景に、持ち家取得を見送り賃貸住宅を選択するエンドユーザーの動向もある模様です。更に、各地の不動産事業者に話を聞く中で、「まだ供給過多気味のワンルームと、物件が足りないファミリー向けで状況が異なるほか、立地や生活利便性による人気の差など、物件間で家賃動向の格差が大きい」との声も多くありました。賃貸オーナーや供給事業者側にとっては追い風の市場動向と言えますが、引き続き需給バランス等を考慮した冷静な事業戦略が重要となるでしょう。
次は、2位の「SBIアルヒ 4年ぶり増収増益 『フラット35』シェアを強化(2025/5/13号)」です。21年度以降の決算では業績が振るわず、特に各利益の大幅なマイナスが続いていた同社ですが、今回ブラス成長へと回復しました。背景には、24年春以降の日銀の金融政策方針変更による住宅ローン市場の変化があります。日銀の政策金利引き上げに伴い変動型住宅ローンの金利も上昇傾向が広がり、固定型との金利差が縮小したことで、同社が主力とする全期間固定型住宅ローン「フラット35」へのニーズが高まったことが業績を押し上げました。加えて、「フラット35」市場における同社シェア拡大も貢献した模様です。記事中では同社の新中期経営計画についても取り上げ、更なるシェア拡大等の重点施策を紹介しています。なお、今回のランキング首位は、前回集計期間中の記事「24年度『フラット35』申請戸数は0.8%減の約4万戸 住金機構(2025/5/12配信)」でした。前述のローン市場動向も踏まえると、今回の決算記事の上位ランクインの一因には、同社の業績と方針自体のニュースバリューに加え「フラット35」自体への関心の高まりもありそうです。
最後は、3位となった「25年度は訓練校に166人が入校 積水ハウス 10年で3倍に増員 33年に社員工1000人体制へ(2025/5/13号)」をご紹介します。積水ハウス建設グループが運営する住宅技能工訓練校の入校式についてのニュースと併せて、同社グループ及び協力工事店における人材採用・育成戦略を解説しています。広く知られている通り、現代は建設技術者の不足が大きな課題となっていますが、住宅施工に携わる人材についても例外ではありません。国土交通省も2月、住宅建設技能者に焦点を当て、その持続的確保へ向けた有識者会議を立ち上げて、今後の政策的アプローチの検討に入っていますが、こうした構造的課題の早期解消は困難。そうした現状を踏まえ、同社グループは積水ハウスの住宅供給を支える現場の担い手の安定的な確保へ向け、長期的な視野で育成等を強化すると共に、待遇改善も図っていく方針を示しています。大手ハウスメーカーならではの取り組みとも言えますが、住宅業界にとって大いに参考となる動きであることは確かでしょう。