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記者が解説 住宅新報web週刊ニュース記事(7月22日~7月28日)

Pick Up!

  • 大手ハウスメーカー受注速報 賃貸がけん引の構図続く
  • 三菱地所リアル新社長、清水氏インタビュー 人材の採用・育成軸に成長戦略描く
  • さくら事務所調べ 新築戸建ての7割超に施工不良、マンパワー不足が背景と指摘

 1週間のランキング・トップ10から記者が気になる記事を3つピックアップしていきます。

 初めに、紙面記事から1位となった、ランク入り常連の人気コンテンツ「大手住宅メーカー6月受注金額 戸建て注文3社が前年プラス 賃貸が好調維持 5社が二桁成長(2025/7/22号)」です。今回の各社受注速報では、賃貸住宅(「RC除く集合住宅」等含む)区分では全企業が前年同月を上回り、その大半は2桁の上昇でした。引き続き、賃貸が各社の受注をけん引している様子がうかがえます。他方、戸建て注文住宅はやや苦戦が見られます。また、戸建て分譲住宅やマンションは、企業により傾向が分かれるものの、各区分全体としてはあまり振るわない印象です。以前から各社とも、高付加価値化による棟単価上昇などで収益性を確保する流れが続いていますが、目下の物価高・所得低迷の継続などにより、市場全体で見れば、そうした努力による対応も年々難しくなっていることの表れかもしれません。

 次も同じく紙面記事から、5位にランクインした「地所リアル 清水新社長に聞く 「案件の大型化を推進」 グループ力でニーズ掘り起こす(2025/7/22号)」です。自社の強みとして、幅広い顧客接点やグループ間連携を挙げると共に、案件の大型化による収益向上などの現状認識を示しました。そして当面は、一般事業法人への多面的なアプローチや変化に応じた事業展開、不動産売却マッチングサ―ビスでのマーケティング強化を図る姿勢を示しました。併せて、将来的な成長に向けては、「人材の採用と育成」を掲げています。若年人口は減少の一途となる中、以前とは異なり、不動産会社も人材の継続的な獲得・育成・定着が経営上の一大関心事となっています。業界内外の他社よりも魅力的な「選ばれる会社」となり、獲得した人材に活躍してもらうことはもちろん、そうした姿勢を対外的に発信していくことも、トップの重要な役割と言えるでしょう。

 最後は、一部業界にとっては少し耳の痛い話かもしれませんが、6位の「さくら事務所 建築現場の実態76.4%で施工不良(2025/7/23配信)」をご紹介します。同社の調査によると、24年に実施した新築戸建て住宅の完成検査で、「全体の76.4%の物件で主要部位に何らかの不具合が見つかった」としています。背景には、人手不足及び施工管理体制の脆弱(ぜいじゃく)さがあり、ヒューマンエラーによる施工不良が広範・継続的に見られるとのこと。労働人口の偏り等で、建築施工業者による人材確保が困難化していることは周知の事実ですが、客観的な構図としては、品質よりも人的コストや工期を優先した形になっていることは否めません。同社はその解決策としてDXを提示していますが、そうした先進的技術か、あるいは十分なマンパワーを投入するなど、業界の各事業者が何らかの対策を講じなければ、結果として行政による監視・監督や規制の強化といった流れにもつながりかねません。厳しい環境ではありますが、住宅施工事業者には、将来を見据えた対応を期待したいところです。

 

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