葦簀(よしず)や簾(すだれ)は直接的に、風鈴の音色や金魚鉢は感覚的に夏の暑さを和らげてくれる。高い天井や欄間(らんま)は〝風の道〟をつくり、自然の力でエアコンのように機能する。梅雨が明けて、夏本番を迎えた。
▼公立小中学校のエアコン設置率はほぼ100%となった。昔は、団扇代わりに下敷きをあおいで涼を得た。部活動中は禁止されたため、帰宅途中に郵便局や商業施設に駆け込み、冷水機で水分補給した体験が懐かしい。
▼6月1日からは職場での熱中症対策が義務化された。不動産・建設業は、建設現場や外回りの営業職でも、対策が必須となっている。小型ファンを内蔵した空調服やモバイル扇風機があれば多少は対策になるのかもしれない。熱中症で死者も出ている一般家庭の対応策は、やはりエアコンとなる。
▼エアコンの〝2027年問題〟が持ち上がっている。新しい省エネ性能基準を満たさないエアコンは製造・販売できなくなる。新基準を満たす機器は性能スペックにもよるが今よりも3万円近く価格が高くなるそう。これは1つの家庭だけの問題ではない。
▼新基準の適用が迫る26年に、おそらく現行基準エアコンの駆け込み需要で、需給がひっ迫する。複数の物件を持つ不動産オーナーや不動産管理会社は、賃貸入居者からの故障対応に、どう対応するのか。安い価格で抑えられる現行基準エアコンの〝買い占め〟が出てくるのかもしれない。