訪日客の急増を受けてホテル不足を補う側面で民泊市場拡大にポジティブだった当初から一転、発展的な話ではなくなった。国の住宅宿泊事業法(民泊新法)は年間180日営業でき、特区指定区域は営業日数に制限がない。大阪はそれを見直す。東京の各自治体も見直しを検討する行政区が相次ぐ。豊島区は営業を認める期間を従来の180日間から7~8月、12月20日~1月10日と短縮を打ち出し、区議会で改正案を成立させてそれを「遡及適用」するという。
▼こうした事態を招いたのは、要は民泊を利用する人たちのマナーの悪さと、それを知りながら対応を怠って放置してきた行政と民泊事業者であり、その責任は重い。ゴミ出しルールを守らない、部屋で騒ぎ立てる。こうした状況に市民の怒りを買う格好となり、近隣住民からの苦情が殺到して行政サイドも対応をせざるを得なくなった。多くの自治体は、居住専用地域や文教地区での民泊を禁止する方向性で一致している。
▼市民の怒りは民泊導入前から誰もが想定できていた問題。コロナで噴出が後ずれになっただけで、そこへの対応を軽視してきたことへのしっぺ返し。そこには性善説に立ち事業展開する難しさが浮かび上がる。特に旅行客は「旅の恥は掻き捨て」とばかりに容赦なく騒ぎ立て、ゴミを捨て去る。地元住民からすればたまったものではない。性善説に立って物事を考えることに限界が来ている。



